馬頭琴について
1. 歴史
馬頭琴はモンゴルを代表する民族楽器です。
8世紀の遺跡から発見されており、発見当初は”イケル”と呼ばれていました。イケルはモンゴル語で イケ(母の)ル(言葉)という意味です。
2. 呼び名
モンゴル国ではモリンホールと呼ばれますが、それは”馬の楽器”という意味があります。
日本や中国では馬頭琴と呼ばれます。
バイオリンやチェロのように馬の毛を使った弓で演奏する拶弦楽器のため”草原のチェロ”と呼ばれることもあります。雑音が多く含まれており素朴でやさしい音色です。
3. 形について
馬頭琴は二弦の擦弦楽器です。個体差はありますが高さは110cmくらい幅は22~23cmです。重さは2キロくらいで軽いです。共鳴胴の正面にはバイオリンやチェロのようにF字孔があいています。
胴は台形の箱型で、棹の頭には馬の彫刻があります。弦を支える駒は上と下ひとつずあります。
4.モンゴル国と内モンゴル
内モンゴルは中国の一部で、モンゴル国は同じ名前ですが、別の国です。
モンゴル国の首都はウランバートルです。
年間を通して乾燥しています。夏は20度くらいです。国連加盟国の中で人口密度が最も低い国で、通貨はトゥグルグです。
5. 楽器の違い
モンゴル国と内文号ではその楽器に違いがあります。
例えば、本体素材は内モンゴルの場合エゾマツやシロマツなどの松の木を使います。
モンゴル国では、シラカバを使うことが多いです。
以前は、共鳴箱の表に山羊やラクダ、子馬などの皮を使っていました。
現在では、内モンゴルでもモンゴル国でも、改良されて、表面も木で作るようになりました。楽器職人と演奏家によって、ヨーロッパの楽器のように、F字孔や魂柱(共鳴箱の中に立てられた棒)などが加わりました。
6. 弦と弓
弦は細いナイロンの束になっています。
この楽器の弦は2弦で、太い弦はおよそ100~130本、細い弦は80~100本くらいが束ねられています。
弓に使われている馬の毛はおよそ160~180本が束ねられています。
7. 調弦について
モンゴル国の調弦は一般的に、低い弦をF、高い弦をBbに合わせます。
この調弦をハルハ音階といいます。現在ほとんどのモリンホール奏者はこの音階を使っています。
この調弦を逆にしたもので、”ボルジギン音階”というものがあります。
演奏方法は”ツォール”と呼ばれ、ハルハ音階とは異なり、親指、人差し指、薬指を使い演奏します。
内モンゴルの調弦は一般的に 低い弦をG、高い弦をCに合わせます。
8. 文化遺産
この楽器は、無形文化遺産に登録されています。
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